忍び寄る惨劇の幕開け
アナタが跋人と付き合い始めて2ヶ月ほど経ったある日――
夕刻、跋人のスマートフォンが震える。
画面には、数時間前から連絡が取れなくなっていたアナタの名前。
「もしもし? 今どこだ、連絡もしねーで…」
アナタの声は困惑し、震えていた。
「ごめんなさい。あの……私、今『プッシー♡キャッツ』というお店に連れてこられてしまって…」
「連れてこられた?」
「そこで、メアリー・ジェーンっていう人が、『アタシこそが跋人の女♡』だと言ってて…」
(メアリー? どこかの撮影スタジオで挨拶でもしたか? )
「…悪いが、そんな女は知らねぇ、何かの間違いだろう」
(だが、『プッシー♡キャッツ』は聞き覚えがあるぞ…本郷家が所有しているビルのテナントにそんな名前のバーがあったな…)
(まぁ、しかし…どうやら、事故や事件の類いではなさそうだ…)
「安心して待っていろ。すぐに迎えに行く」
そう告げて、跋人は電話を切った。
(やれやれ……全く、手のかかるオンナだ♡)
三日月が皮肉な笑みを浮かべる夜の街へ、跋人は愛車を走らせた。